歯周病は、虫歯と同様に細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。
その過程は、下の図にあるように次第に口腔バイオフィルムが歯石へと進化していくことで歯茎の
下にある歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし始めます。これが歯周病の始まりです。
近頃よく健康に関する番組を見かけます。
その話題でも出てくる歯周病の本当の怖さは、歯だけでなく全身にも影響を及ぼすことです。
歯周病菌によって動脈硬化を誘発する物質が出て、血流が悪くなり、狭心症や心筋梗塞を招きます。さらに、心臓の心内膜に菌が付着し細菌性心内膜炎を起こすという報告があります。また、脳の血管をも詰まらせ脳梗塞を引き起こすとも報告されています。
以前から、糖尿病の合併症の一つとして歯周病は言われてきました。しかし、近年では歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係が明らかになってきました。つまり、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼしあっているということになります。
妊娠と歯周病の関係については、妊娠中の血液中にある女性ホルモンが大きく関わっていると言われています。この歯肉炎は、清潔な口腔内では起こっても軽度ですみ、分娩後には消退していきます。但し、妊娠中は体温が高くなるため、お口の中で細菌が繁殖しやすい環境になっています。つわりなども含む体調の悪さから歯磨きがきちんとできない状態が続くと、分娩後に本格的な歯周病に移行することもあるので注意が必要です。
近年、妊娠中の女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。私自身も3人の子どもがいるのですが、その母子手帳に「妊娠中と産後の歯の状態」というページを見つけました。生まれてくる大切な赤ちゃんのために、歯のケアがいかに大切であるかを理解していただけると思います。
食べ物や異物などが誤嚥によって肺に入ってしまい、細菌が繁殖して炎症を引き起こすのが誤嚥性肺炎です。高齢者のかかる肺炎は、誤嚥性肺炎が多いと考えられています。この原因となる細菌の多くは、歯周病菌であると言われており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病のケアが大切になってきます。
骨粗鬆症と歯周病の関連性は、エストロゲンの分泌が低下する=歯を支える歯槽骨の脆弱化と言われており、歯周病が進行しやすい原因として最も重要と考えられています。骨粗鬆症の薬は、普段服用していることに問題はありません。しかし、歯周病の悪化で抜歯を必要とする場合には、医師に必ず相談してください。稀ですが、投薬中での抜歯後に周囲の骨が壊死する報告がされています。
最近では、歯周病が原因で関節リウマチが発症することがわかってきています。関節リウマチを罹患した人の特徴として歯周病になっていることが多く、重症化しやすいことが統計的に分かっています。
「歯周病菌が作り出す「酪酸」がアルツハイマー病を引き起こす一因になる可能性がある」と日本大学歯学部の落合邦康特任教授らの研究チームが2017年5月に日本歯周病学会で発表しました。歯周病の放置は、知らないうちに体のいたるところを蝕む恐ろしい病気であることがわかりますね。
だからこそ、ひがしの歯科医院では予防が一番と考えます!
人は、普段安静にしている時に歯と歯は2mm程度の隙間があり接触していません。一方、TCH、歯ぎしり、くいしばりをしている人は、日中や寝ている間、長時間にわたり歯を接触させるため、歯に過剰な力が加わることで負担がかかり、歯を支えている骨を溶かしたり、歯に亀裂が入る原因となります。こちらの画像のように、舌の側面に歯の跡、上顎の真ん中にコブがある時は注意が必要です。
口の中では、唾液が細菌の数や割合をバランス良く保てるように管理しています。それが、口呼吸になると口の中が乾燥状態になり、唾液が減ることで唾液の抗菌作用がなくなり、毒性の強い歯周病菌がより多く繁殖しやすくなってしまいます。
タバコにはニコチンなどをはじめとする有害物質が含まれています。口から吸収されたタバコの有害物質は血管収縮作用があり、歯ぐきの血流量を減少させます。血液循環が悪化し歯ぐきに十分な酸素がいきわたらなくなると、歯周ポケットの中で歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。
実は歯ぎしりの原因ともいわれているストレスですが、多種多様でネガティブな事ばかりだけではなく引越し、転職、入学などの環境の変化もその一つとされています。
上記のチェック項目は、当てはまる数が多いほど、歯周病の可能性があります。
歯周病は早期発見・治療が大切です。症状が当てはまった場合は一度ご相談ください。
上記のチェック項目は、当てはまる数が多いほど、歯周病の可能性があります。
歯周病は早期発見・治療が大切です。症状が当てはまった場合は一度ご相談ください。
歯周病の最大の原因はプラーク(歯垢)と歯石です。原因である歯垢の除去および歯石の除去、根面の滑択化、噛み合わせの調整などが治療の基本となります。また、歯科衛生士による歯磨き指導や歯間ブラシ、デンタルフロスなどで改善をはかります。基本治療により歯周組織が改善され、ポケットの深さが浅く(2~3mm)維持されればメンテナンス(定期検診)に移行します。
歯周基本治療で改善されない歯周病に関しては、歯周外科手術を行うことがあります。歯周外科手術とは歯肉に局所麻酔を行った後、歯肉を切開・剥離して歯垢(プラーク)・歯石などをしっかりと除去する治療法です。歯周外科手術で骨を滑らかにし、プラークコントロールを行いやすい口腔環境を作ります。歯周組織が改善されれば、メンテナンス(定期検診)に移行します。また一度失った骨を再生させる再生療法などもあります。適応は限られており全ての方にできるわけではありませんが、お気軽にご相談ください。
歯周病の一番の予防は、細菌のすみかである歯垢(プラーク)をしっかりと除去することにあります。ご自宅での毎日のケア(歯磨き・歯間ブラシ・デンタルフロス)が大切です。ただし、患者さま自身による歯垢(プラーク)のコントロールだけでは口の中の細菌を完全になくすことは難しいため、定期的に歯科医師や歯科衛生士による検診や治療を受け、歯をメンテナンスすることも重要です。